今や歯科医師や助産師、理学療法士など専門家が赤ちゃんとお母さんの姿勢を分析し、適切な抱っこができるような講座が開かれるほど、「抱っこひも」の使い方が重要視されています。そんな「抱っこひも」の使い方で、赤ちゃんにどんな影響をもたらすのかについてご紹介します。

●抱っこひもによる姿勢の拘束

今、ハイハイができないお子さんが増加傾向にあります。そして、大人でも左右交互に出すハイハイの動きが上手くできない人も多いのです。

ハイハイは、四つん這いから対側の手足を交互に前に振り出し、背骨の側屈が伴う動きです。腕を支えるための肩甲骨の動き、脚と胴体を支える股関節の支えが伴うことで成り立ちます。股関節は骨盤と繋がる部分であり、体の支えになる部分でもあります。

赤ちゃんはこの股関節が育つことでハイハイができ、脳が発達して歩くことができるようになります。ハイハイする中で、体の交互性、交叉性を学習し協調したなめらかな動きを獲得します。物との距離感、バランス力、手や足の動きの向上、たくさんの成功・失敗の体験を繰り返しながら応用的な動きができるように学習しているのです。そのためにも、赤ちゃんの時期に出現する「原子反射」を上手く消化し、必要な筋肉を育てていく必要があります。

しかし、抱っこひもで長時間姿勢を拘束し、不適切な姿勢が続くと、股関節周りの筋肉や体幹の筋肉が十分に育たず体の硬さも生まれてしまいます。こうなると、ハイハイを十分に経験しないことで成長過程をスキップしてしまう恐れがあります。

●体温調節機能

もう一つは、赤ちゃんに過度な厚着をさせてしまうことで起こる「体温調節機能」の低下です。体温調節機能は脳の視床下部で調節されますが、赤ちゃんはまだ未発達です。ちょうどハイハイをする時期に徐々に視床下部と自律神経が発達しはじめます。

人は汗をかくことで体の熱を発散させ体温を下げます。血管が開いて血液の巡りを良くすることで、体内の水分を皮膚の汗線から汗として熱を発散しているのです。

しかし、この汗をかくシステムが上手くいかなければ、体温の調節を上手く機能させる事が出来ません。血の巡りが悪い状態では、偏った部分でしか発汗出来ず、熱の放散も偏ることになります。特に、鼠蹊部と呼ばれる股関節には、骨盤の中から足に続く太い血管やリンパ管が通っています。鼠蹊部が圧迫され続けると血管の通り道が細くなり、血行障害が起こります。そうなると、下半身の汗もかきにくくなって、汗のかき方に偏りが生じることになります。また血行障害は、体内の老廃物を溜めやすくする状態でもあります。

汗をかくのに偏りがある、老廃物が溜まりやすい状態、体温調節機能が働かないという状態では、自律神経が上手く育たず、免疫力低下にも繋がりかねません。

今回はここまでです。続きは、また次回に。

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